NBAの王者を決めるファイナル(FINALS)に出場するナゲッツのマイケル・マローン監督(51)が30日、練習後の記者会見に出席。「シード順を見て我々が楽に勝てると見ている人がいるがとんでもない。ここまで来たらそんな数字は何の意味も持たない」と、ヒートと顔を合わせる大舞台に向けて緊張感を漂わせていた。
NBAの対抗組織だったABAの消滅によって1976年にNBAに組み込まれたナゲッツは、ABAのファイナル(1975年)に進出したことはあるがNBAのファイナルは初出場。西の第1シードながら今季の成績が53勝29敗だったということもあって、東地区決勝で第2シードのセルティクス(57勝25敗)が勝ち上がっていればファイナルのホーム・アドバンテージはなかった。しかし第8シードのヒート(44勝38敗=東地区全体の成績としては7位)が4勝3敗でシリーズを制覇。ナゲッツは西地区決勝でレイカーズをスイープで下したあと、移動することなく中9日で大舞台を迎えることになった。
ヒートは3連勝&3連敗のあとの第7戦まで消化したためにファイナル第1戦は中2日での試合。両チームの今季成績、シード順、休養期間を比較するとナゲッツが圧倒的に有利で、ブックメーカーの総合サイト「オッズチェッカー」はファイナルの優勝オッズをヒートの4・33倍に対してナゲッツは1・29倍に設定した。
しかしマローン監督は周囲に漂う“楽観論”を全否定。「初出場なので人生で最大のチャレンジだ。タフな戦いになる」と気持ちを引き締めていた。
ナゲッツには過去2シーズン連続でMVPとなっている万能センターのニコラ・ヨキッチ(28)と、今ポストシーズンで30得点以上を7回記録しているシュート力のあるガード、ジャマール・マーリー(26)がいて戦力は充実。ただしプレーオフに入って平均28・5得点を挙げ、土壇場では驚異的な存在感を示すヒートのフォワード、ジミー・バトラー(33)を、誰がどのように抑え込むのかという課題は残されている。
一方、ヒートはゲイブ・ビンセント(26)、マックス・ストルース(27)といったドラフト外入団の選手が奮闘して勝ち上がってきたが、“スモール・ラインアップ”ゆえにチームのブロックショット数はレギュラーシーズンもポストシーズンも最下位。リバウンドも苦戦しており、ペイント内での攻防はナゲッツが有利と見られている。ただし右手を負傷してプレーオフを17試合欠場していた本来先発のガード、タイラー・ヒーロ(23)はファイナルで復帰する見込み。エリック・スポールストラ監督(52)がどのようなローテーションを見せるのかが注目されるところだ。
<ファイナル日程>
▼第1戦=6月1日(デンバー)
▼第2戦=6月4日(デンバー)
▼第3戦=6月7日(マイアミ)
▼第4戦=6月9日(マイアミ)
▼第5戦=6月12日(デンバー)
▼第6戦=6月15日(マイアミ)
▼第7戦=6月18日(デンバー)
*日付は米国時間。第5戦以降は状況次第で実施
<レギュラーシーズンとプレーオフでの両チームの成績の変化>
▼得点
ナゲッツ=115・8(12)→116・4(2)
ヒート=109・5(30)→111・7(10)
▼フィールドゴール成功率
ナゲッツ=50・4%(1)→49・0%(2)
ヒート=46・0%(26)→47・2%(5)
▼3点シュート成功率
ナゲッツ=37・9%(4)→38・6%(2)
ヒート=34・4%(27)→39・0%(1)
▼フリースロー成功率
ナゲッツ=75・1%(26)→81・5%(4)
ヒート=83・1%(2)→80・4%(8)
▼リバウンド
ナゲッツ=43・0(19)→44・2(7)
ヒート=40・6(27)→41・0(11)
▼アシスト
ナゲッツ=28・9(2)→25・9(3)
ヒート=23・8(25)→23・7(8)
▼スティール
ナゲッツ=7・5(11)→7・1(6)
ヒート=8・0(6)→7・4(4)
▼ブロックショット
ナゲッツ=4・5(20)→3・9(12)
ヒート=3・0(30)→3・4(16)
▼ターンオーバー(少ない方が上位)
ナゲッツ=13・8(20)→10・3(1)
ヒート=12・8(9)→11・6(6)
▼反則数(少ない方が上位)
ナゲッツ=18・6(4)→20・5(10)
ヒート=18・5(3)→20・2(8)
*カッコ内の数字はリーグ順位。レギュラーシーズンは30チーム、プレーオフは16チームの中での順位。
2023年05月31日 11時33分