俳優の仲野太賀(33)が主演を務めるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜後8・00)は18日、第40話「あさひの輿(こし)入れ」が放送される。茶々(井上和)と寧々(浜辺美波)の“意外な決断”が反響を呼んだ前週。2人の“心の声”を石井さんが描きだす。
前回の第39話は「茶々の本心」。秀吉(池松壮亮)は数正(迫田孝也)を大坂城に呼び、徳川と真田の和睦を命じる。豊臣家の財力と勢いを目の当たりにした数正は家康(松下洸平)を説得しようとするが、家康は和睦を拒否、対豊臣の戦支度を始める。一方、秀長(仲野太賀)は秀吉に、後継者となる実子をもうけるため新たに妻をめとるよう勧める。相手は織田の血を引く茶々しかいないと言われた秀吉は、寧々の心中をおもんぱかり猛反発するが…という展開だった。
寧々命の秀吉が描かれる今作。その寧々が兄弟の言い合いに割って入り、意外な言葉を口にした。
「随分長いこと、あなたとともに、この家を支えてまいりました。いつの間にかこんなに大きくなって。私にとってはこの家こそが、あなたとの子なのです。その子を守るためなら、どんなことでも、喜んで受け入れまする。ただ…茶々が傷つくようなことだけはしないで」
秀吉も忠臣たちも予想だにしない寧々の言葉。その力は重く、秀吉は茶々をめとることを決断した。
その決定を伝えに行った秀長に茶々は激怒し弓矢を向ける。しかし、説得の鬼・秀長はひるみながらも訴えた。
「こうは考えられませぬか。もし子が生まれれば、いずれは後を継いで天下人となる。信長公もお市さまも浅井殿も成し得なかった天下人の夢を、茶々殿の子が叶えられるとしたら、きっとお市さまも喜んでくださるに違いない。わしはこうも思うのです。仇だからといって、心を閉ざし続けるのは、あまりにも寂しくはござりませぬか。殿下がどういう人なのかは、ここ大坂の暮らしの中で、茶々殿自らがご覧になっているはず」
秀長の説得にも難色を示していた茶々だったが、そこに寧々が現れ弓勝負を提案する。「私が勝ったら、この家のために殿下の妻となってもらいます。あなたが勝ったら、あなたの好きになさい」。寧々の凄みもあり茶々は対決を受け入れた。
寧々は元織田家の弓衆の娘。先手を申し出て見事、的の中央付近を射る。重圧のかかる中、矢を放つ瞬間、茶々の脳裏には母・市(宮崎あおい)の“遺言”がよみがえる。「母は今、生まれて初めて己が決めた道を進んでいるのじゃ。これほどうれしいことはない。そなたにもいつか、こういう日が来ることを願っておる…」
矢は見事にど真ん中に命中。そして、茶々は寧々の目を真っすぐ見つめ言った。
「私は…殿下の妻になりとうござります!的の前に立ち、己の気持ちが決まりました。父と母の夢のため、そして豊臣のため、殿下の妻になりとうござります。どうか、お許しくださりませ」
意外な結末となった弓対決。その夜、寧々は秀長に涙を流しながら声を震わせた。
「茶々がどちらを選ぶかまでは、私にも分かりませんでした。でも…茶々に問い掛けた刹那、私は願ったのです。茶々が殿下の妻にはならぬと言ってくれることを。秀吉殿の正妻として、あってはならぬこと…」
秀長は、寧々の本心にようやく気付き絶句。秀吉は「寧々と2人にしてくれ」と人払いをした。寧々の一人の女としての素直な思いと、百姓時代からとてつもなく大きくなった豊臣家の、世継ぎ問題という大事な将来を考えなければいけない「豊臣秀吉の妻」の思い…。また、茶々も、憎き仇の妻となる拒絶感と、尊敬する母・市が最期に残してくれた思いを後世につなぎたい思い…。寧々と茶々の深き葛藤が見事に映し出された。
◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画を手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2023 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2023 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。スポニチアネックスでの大河絵連載は「鎌倉殿の13人」(2022年)から始まり5年目。
2026年10月18日 17時09分