◇「豊臣兄弟!」石川数正役・迫田孝也インタビュー
俳優の仲野太賀(33)が主演を務めるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜後8・00)は25日、第41回「家康の野望」が放送され、豊臣方へ出奔した石川数正と豊臣秀吉への臣従を誓った徳川家康(松下洸平)の再会が描かれた。家康の懐刀を好演してきた俳優の迫田孝也(49)に撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
NHK連続テレビ小説「おちょやん」などの八津弘幸氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ通算65作目。“天下一の補佐役”豊臣秀長を主人公に、豊臣兄弟の絆と奇跡の下克上を描く。兄・豊臣秀吉役は俳優の池松壮亮が演じる。
家康が秀吉への臣従を誓ってから数日後。大坂城下の数正の屋敷を訪れる。約束の“サシ飲み”が実現。家康の月代姿に、数正は「全く似合っておられませぬな」。2人は笑い合った。
数正「(土下座し)お許しくださりませ!もう二度と会わせる顔などないと腹を決めておりました」
家康「やめよ。ついこの前、わしが秀吉にそうしてきたところじゃ。思い出したくもない」
数正「よう耐えられましたな」
家康「おまえのしでかしたことに比べればなんてことないわ。(酒瓶を置き)約束じゃからな」
数正「これほどうまき酒はござりませぬ。しかし、その頭、全く似合っておられませぬな」
家康「言われずとも分かっておる。わしは決めたぞ、数正。長生きする。おまえの言う通り、あやつらよりも長生きして、最後に笑ってみせるわ」
数正「それでこそ、我が真の殿でござりまする」
家康「おまえはそれまで秀吉に仕え、わしに通じよ」「よしっ、ではここまでじゃ」
数正「は?いえ、まだ三口しか飲んでおりませぬ」
家康「飲みすぎはよくないからのう。長生きできなくなる」「ならん。おまえもわしと一緒に長生きせえ」
出奔後の数正と家康の再会が描かれるのは珍しく、迫田は「八津さんから“ご褒美”を頂いたという感覚で、うれしかったですね。あんなこと(出奔)をしでかしたのに、最後にもう一度、殿と本音で向き合うことができた。しかも2人だけという幸せな時間。やはり“ご褒美”というワードがしっくりきます」と感謝。
「お互い、縁側に並んで座る空気を大事にしていたと思います。今川の人質だった頃の若かりし2人に戻ったような。殿も、武家の頂を目指してまとってきた“心の鎧”をいったん脱いでくれたような。殿の月代姿をイジりながら、それでいて、天下を獲るために今後それぞれがやるべきことは分かっている。そういう貴重な時間を、殿と再び共有できる幸せを噛み締めていました」と明かした。
松下とは初共演ながら“阿吽の呼吸”。「藤吉郎への嘘助言」(第5回・2月1日)「秀吉と再会も“あれ誰?”」(第13回・4月5日)「秀吉への嘘塗り薬(かゆみ止め)」(第14回・4月12日)「伊賀越えキャンセル(海路)」(第28回・7月19日)など、数正と家康のやり取りが笑いと驚きの連続となり、ドラマ前半は出番こそ多くなかったものの、家康パートが人気を集めた。
迫田の“受けの芝居”によって家康の“狸ぶり”が際立ったが、「極意は?」と尋ねると「ありません(笑)。とにかく松下くんがいいパスを出してくれたおかげで、僕としては“受けの芝居”を意識したことはあまりなかったです。一つあるとすれば、前半は徳川家臣団が数正一人しか描かれなかったこと。知恵袋として殿を支える以外に、桶狭間の戦いや金ヶ崎の退き口では戦場にいたり、数正の役割が多かったので、受けのパターンも増えたのかもしれません」と振り返った。
大河出演は2022年「鎌倉殿の13人」以来4年ぶり4回目となり「『鎌倉殿』の時に比べると、キャストの中で年長になってきたなと実感しました。所作をはじめ、今まで僕が教わってきた時代劇の知識や経験を伝えながら、お芝居としてはドンと構えて後輩を見守る。そういう感覚になったのは初めてでした」。徳川四天王の本多忠勝役・夏生大湖、榊原康政役の栗原類、井伊直政役の阿久津仁愛はいずれも初大河。「普段は自分から仕掛けるタイプですが、今回は夏生くん、栗原くん、阿久津くんたちがどういう芝居をしてくるか、ワクワクしながら待っていました」と役柄同様、徳川陣営の屋台骨となった。
トーク術も冴え渡り、今作の各地のイベントに引く手あまた。11月2日には「大河ドラマ『豊臣兄弟!』トークライブ in 北近江・長浜~◯◯の事は俺たちに訊け!~」(長浜文化芸術会館)に参加し、撮影秘話を語る。大河デビュー作となった16年「真田丸」から10年。大河常連の風格を増してきた。
2026年10月25日 20時57分