2001年9月9日に惜しまれつつ53歳で亡くなった相米慎二監督の「魚影の群れ」「東京上空いらっしゃいませ」「あ、春」の4Kデジタルリマスター版が11月27日から東京・Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほかで順次全国公開される。グラフィックデザイナーの畑ユリエが担当した3作品の劇場公開用ポスタービジュアルがこのほど解禁された。
9月のベネチア国際映画祭で「魚影の群れ」4Kデジタルリマスター版がワールドプレミア上映されて好評を博すなど、いまなお世界の映画ファンから注目を集める相米監督。開催中の東京国際映画祭日本映画クラシック部門でも「魚影の群れ」と「東京上空いらっしゃいませ」の2本が上映され、海外の映画評論家を招いたトークイベントが予定されている。
1983年公開の「魚影の群れ」は、青森県下北半島最北端の漁港を舞台に、厳しい北の海で小型船を操り、孤独で苛酷なマグロの一本釣りに生命を賭ける海の男達と、寡黙(かもく)であるが情熱的な女達の世界を描く。幾度か映画化を企画されながら断念されてきた吉村昭の原作を、相米監督が壮大なスケールで製作した壮絶なドラマで、緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市らが出演。
中井貴一、牧瀬里穂らが出演した90年公開の「東京上空いらっしゃいませ」は、不慮の事故に見舞われた新人モデルが自分の死を受け入れられず、死神をだまして現世に舞い戻ってくるが…。少女の逡巡(しゅんじゅん)や躍動を長回しのカメラで捉えるスタイルは不変ながら、幽霊になった彼女が生きることの歓喜を知っていく過程の描写には、それまでの相米作品とは異なる高揚感がある。
そして98年に公開された「あ、春」は、順調に証券マンとしての道を歩んできた男の下に、死んだはずの父親が突如現れるとともに、彼の会社の経営状態も悪化していき…。巻き起こる波紋の中、自分の人生を見つめ直す男とその家族の姿を描いたホームドラマで、99年のベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。佐藤浩市、山崎努、斉藤由貴らが出演した。
相米作品の魅力を「再発見」する絶好の機会となる。
2026年10月29日 17時37分