◇「豊臣兄弟!」石川数正役・迫田孝也インタビュー
俳優の仲野太賀(33)が主演を務めるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜後8・00)は18日、第40回「あさひの輿入れ」が放送され、俳優の迫田孝也(49)が好演している徳川家康(松下洸平)の懐刀・石川数正の出奔が描かれた。迫田に撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
NHK連続テレビ小説「おちょやん」などの八津弘幸氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ通算65作目。“天下一の補佐役”豊臣秀長を主人公に、豊臣兄弟の絆と奇跡の下克上を描く。兄・豊臣秀吉役は俳優の池松壮亮が演じる。
諸説あるものの、明確な理由は謎に包まれる石川数正の寝返り。今作は「豊臣との戦を避け、徳川を守るため。ひいては家康を天下人に導くため」という流れになった。第40回、数正は文にこう記した。
「殿、此度の不埒、どうかお許しくださりませ。覚えてはおられますまいが、かつて三方ヶ原の戦い(元亀3年・1572年)で武田に大敗を喫した時、(家康)“わしはすぐに忘れるぞ。その代わり、おまえは決して忘れるでない。この先、わしが同じ失態を繰り返さぬように睨みを利かせ、諌めててくれ”(数正)“お任せくだされ”(第17回・5月3日)。あの約束を、今こそ果たす時。たとえこの身は豊臣に付こうとも、我が心は、殿と共にありまする。それから殿、爪を噛むのはおやめくだされ」
最初に脚本を読んだ際の印象について、迫田は「数正と殿の幼少期からの絆を描いた回(第34回・9月6日)があったので、殿との結びつきは残したままの出奔になるんじゃないかな、と可能性を感じていました。もう一つは、三方ヶ原の戦い。大敗を喫した殿から“おまえ(数正)は決して忘れるでない。この先、わしが同じ失態を繰り返さぬよう睨みを利かせ、諫めてくれ”と命じられ、この先、殿が道を外れそうになった時に軌道修正するのが自分の役目だと分かりましたから、ついに“その時”が来たんだな、と思いましたね」と振り返る。
第39回(10月11日)、大坂から浜松に帰った数正は「真田との和睦」について血気盛んな徳川四天王と激論。数正の意見は退けられ、家臣団は好戦に傾く。
「歯がゆい思いはありました。(家康にサシ飲みを断られる)第40回の対峙シーンは、最後の最後に殿の気持ちを、そして自分の気持ちを確かめるもの。その上で数正は出奔を決意したので、自分の進む道が定まったという清々しさ、スッキリした感覚を味わいました。もちろん殿にとっては裏切りに映って、ショックだったわけですが」
序盤から初共演の松下との2人芝居が大半だったが「他愛もない話ばかりで、演技のことはほとんど(笑)。ここの対峙も特に話し合ったことはなくて、僕は本音と建前、表の言葉に裏のメッセージを込めてパラレルに発するという芝居が自然と出ました。やはり若き数正と殿を自分たちで演じたことが大きかったと思います」と実感がこもる。
家康が今川の人質だった頃を丁寧に紡いだ異色の第34回「最強のライバル」。天文16年(1547年)の竹千代(6歳)と数正(15歳)は流石に子役が演じたが、天文24年(1555年)の元服した松平元信(初名)(14歳)と数正(22歳)は松下と迫田が挑んだ。
駿河国主・今川義元(大鶴義丹)と嫡男・今川氏真(三河悠冴)の言動により、元信は愛鳥を失う。数正は涙に暮れる若き主君に「奪われたくなければ、奪う側になるしかありませぬ。今はまだその時でなくとも、いつの日にか、あなた様が武家の頂に立つのです」――。
「あの時間、あのシーンを共有していなかったら、出奔の時の台詞は“殿、分かってくださいよ”というような、表面的で、力任せの言い方になっていたかもしれません。例えば、若かりし頃の単なる口喧嘩のようなものなのか、どれだけきつく忠告しても根底には殿への揺るぎない思いがあるのか。第34回の撮影を経て、台詞回しの幅が広がり、お芝居の自由度が増しましたね。それが出奔のシーンに活きました。もし時代順の撮影というものがあり、14歳の家康と22歳の数正を一番先に演じていたら、序盤の2人(桶狭間の戦い~木下兄弟と初対面・劇中の年代は1560~62年)も少し違っていたかもしれないね(笑)という話は松下くんとしました」
自ら若き数正を演じるのは、迫田が志願。「22歳を演じるのは正直厳しいとは思いましたが、自分でやるかどうかは雲泥の差で、以降の演技を左右する、という確信もありました。石川(慎一郎)監督に提案すると“その方がいいですよね”と賛同してくださって。14歳役の松下くんの方が大変なのは分かっていましたが、“殿、やりましょう!”と声を掛けました」。松下も「先輩がやる気満々なので、腹を括りました(笑)」とOK。迫田は「どうすれば若く見えるのか、メイクさんや衣裳さんに相談しましたが、最終的には“みんなでやれば怖くない!”ということで(笑)、チャレンジさせていただいた次第です」とターニングポイントを明かした。
次回は25日、第41回「家康の野望」。数正の出奔、あさひ(倉沢杏菜)の輿入れに加え、なか(坂井真紀)が人質となり、家康はようやく上洛。しかし秀吉への謁見前夜、秀長暗殺を計画――。数正の動きも注目される。
2026年10月18日 20時55分