【牧 元一の孤人焦点】間もなく11月7日の立冬。熱い湯船が心地よい今日この頃。「秘湯の女神」の愛称で知られるモデル・吉山りさ(47)が人気の温泉地、思い出の場所、行くべき宿の選び方などについて語った。
日本で最も人気のある温泉地と言えばやはり群馬・草津。酸性で硫黄成分を含む泉質で、温泉の素晴らしさを強く実感することができる。
「私の印象は湯花(温泉の成分が固まったり沈殿したりしたもの)が多いこと。湯花は温泉の知識がないと、ゴミが浮いてる?と思ってしまいますが、今は湯花が大好きです。私は2年くらい前から両肩が四十肩になってしまって困っていたのですが、草津で1日5回くらい入浴したら、良くなった気がしました」
忘れがたい思い出もある。中学時代の3年間、陸上部に所属。部の顧問が選んだ夏合宿の場所が草津だったという。
「真夏で暑いのに練習を終えて熱い温泉につかる。その意味が13歳~15歳の私には全く理解できませんでした。ところが、大人になって、三十数年ぶりに草津を訪れてみると、湯畑を見ただけでテンションが上がるし、温泉に入ればこの上なく気分が良くなるし、当時の先生の考えが少し分かった気になりました」
2017年からテレビ朝日「秘湯ロマン」に旅人として出演。20年には自身のYouTubeチャンネルを開設。各地をめぐって温泉の魅力を発信していく中で、温泉ソムリエの資格も得た。
これまでに訪れた温泉地は500カ所以上。中でも最も鮮烈な印象を残したのは北海道・登別だという。
「約1年前の話です。大浴場の露天に入ろうとしたら、塀から鹿が顔を出していたんです。目が合ったけれど、人間を警戒する様子が全くなくて、私がお風呂につかったら、落ちている木の実を食べ始めました。『何食べてるの?おいしい?』とか話しかけて、ずっとながめていたかったのですが、のぼせて来て15分くらいで出ました。温泉につかりながら大自然を味わえる。現実から離れられる。登別は忘れることができません。また鹿に会いに行きたいです」
ネットには温泉の情報があふれている。検索すれば、魅力的な宿が数多く浮上する。しかし、その中から自分が行くべき湯場を選択するのは意外に難しい。
「私の基準はまず源泉掛け流しかどうか。それから部屋に露天風呂がついているかどうか。もちろん予算の問題があるので理想通りには行きません。宿を選ぶ時に重要なのは、実際に行った人たちの口コミで、私はここ1年くらいの口コミを読むようにしています。特に『風呂にゴミが落ちている』『部屋で隙間が吹いてうるさい』『食事がいまひとつ』などの悪い評価に注意します。中にはやらせのコメントもありますが、そこを見極めるのが大事です。それと、大切なのは、何時まで入浴できるかということ。午後11時までだと、夕飯でお酒を頂いてしまうと慌てて入ることになるので、私は午前1時まで大丈夫な宿を探します」
温かい湯においしい食事と酒。話を聞けば聞くほど温泉地への思いが募る。
「温泉に入ると、肌が喜び、心も喜ぶ。湯治という言葉があるように、本当に心身共に癒やされます」
秘湯の女神の微笑に、ますますいざなわれる。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。
2026年10月30日 12時43分