サンリオが29日、TBS日曜劇場「VIVANT」とのコラボレーション企画を全面中止すると発表した。コラボは6月に発表され、7月には関連商品の販売が始まっていた。開始から約4カ月が経過したタイミングでの中止に、疑問の声も上がっている。
同コラボは「VIVANT」第2シーズン放送前となる6月26日に発表された。7月3日からTBSショッピングで商品の販売・予約が始まり、同日から16日までは東京駅キャラクターストリートで期間限定ショップも開催された。ハローキティやマイメロディなどのキャラクターが「VIVANT」の登場人物に扮(ふん)した商品が展開され、期間限定ショップでは一部キャラクターが即完売となるほどの人気を集めていた。
そんな中、問題となったのは、10月4日に放送された第19話の描写とされている。劇中では、中国系の秘密情報組織「シンシー」に拘束された別班員が、右手の指を切断されるなどの拷問を受ける場面が描かれた。
作中の組織は架空のものだが、中国のSNSなどで批判が広がった。中国メディアもこれらの描写を批判。その後、29日にはサンリオ中国法人がコラボ中止を発表し、日本でも全面中止となった。
中止の理由について、サンリオは「サンリオグループの企業理念にそぐわない表現が含まれていると判断した」と説明している。
サンリオが掲げる企業理念は「みんななかよく」。キャラクターや贈り物を通じて、人と人とのつながりや思いやりを広げることを大切にしてきた。今回の発表でも、今後のコラボレーション企画について確認体制を一層強化する方針を示している。
なぜコラボ開始から約4カ月が経過した今、中止に至ったのか。
背景の一つとして考えられるのが、第1シーズンと第2シーズンで描かれる舞台や物語の変化だ。第1シーズンでは架空の国「バルカ」を舞台に物語が展開されたが、第2シーズンでは実在の国や国際情勢を想起させる設定が登場するようになった。こうした展開は、コラボ発表時には明らかになっていなかった。
コラボ商品の販売が始まった7月と、拷問描写が放送された10月とでは、作品を取り巻く状況が大きく変化していた。中国系組織が悪役として描かれたことへの批判が広がり、サンリオとのコラボにも影響が及んだとみられる。
さらに、サンリオの企業理念の背景には、創業者・辻信太郎氏の戦争体験がある。
1927年生まれの辻氏は、1945年7月の甲府空襲を18歳の大学生として経験した。サンリオ公式サイトが紹介する「いちごの王さまからのメッセージ」では、「みんななかよく」「やさしい思いやり」「友情」「本当の愛」「平和の大切さ」といった価値観が説かれている。
また、同社の「いちご新聞」などで紹介されてきた辻氏の戦争体験によると、甲府に飛来したB29爆撃機が大量の焼夷弾を投下する中、辻氏は幼い妹を背負い、一晩中、火の中を逃げ回ったという。辻氏はこの経験を振り返り、「こんな恐ろしい戦争は絶対にあってはならない」との思いを語っている。
サンリオ公式の創業者紹介でも、辻氏は大学生時代の空襲体験を通じて平和の大切さを身をもって知り、「みんながなかよく、思いやりを持って生きられる世の中になるための仕事をしたい」と考えて会社を創業したと説明されている。戦争体験から生まれた「みんななかよく」という理念を、キャラクターを通じて伝えてきた。
今回のコラボ中止には「VIVANTもサンリオも好きだけど、これは仕方ない」「サンリオのキャラも好きだし、VIVANTの視聴勢でもあるので、今回の騒動は複雑 平和を謳うサンリオの理念から考えて、どうしたって暴力描写のあるVIVANTは合わないだろ!という意見も分かる…それはそれとしてフィクション(ドラマ)であるVIVANTの一側面だけでここぞとばかりに中傷する輩とは気が合わない」「わたしはサンリオもVIVANTも好きだけど、だからこそコラボは元々すべきじゃなかったと思うよ」「サンリオコラボ中止は妥当だとは思う。VIVANT2は拷問シーンがあるからどうしても18禁になるしねぇ。子供向けのブランドとコラボする必要性は感じない」と、VIVANTファン・サンリオファンの双方からも中止の判断には肯定的な意見が多く見られた。
2026年10月30日 11時17分