「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」は22日の午後4時50分から都内のホテルで開かれる。
それぞれが迎える運命の日。天理(奈良)時代は世代屈指の豪腕として知られた達孝太(現日本ハム)の控え投手で、高校卒業後は海を渡り、米大学リーグ&独立リーグで武者修行した異色の経歴を持つ右腕・奥村秀斗投手(23)の現在地に迫った。(前編 取材・柳内 遼平)
どこまでもアグレッシブな男だ。天理を卒業後、「野球で通用しなければ勉強に専念すればいいという気持ちで行きました」と米大学野球界に活躍の場を求めた。実力に応じてステップアップできる大学球界のシステムの中、モントレー・ペニンシュラ大、アーカンソーリッチ・マウンテン大、最高峰の舞台であるNCAAディビジョン1に属するミシシッピバレー州立大の3大学、同ディビジョン1のイリノイ州立大とステップアップを重ねた。サイドとアンダーの中間で腕を振り、スライダー、シンカーなど多彩な変化球で打者のタイミングを外す投球術に磨きをかけた。
順風満帆な大学生活を終え、今年5月からは米独立リーグの2球団でプレーした。
「大学卒業後、独立リーグに行った経緯としてはMLB球団、NPB球団との契約に一番近い環境という理由で独立リーグに行きました。上を目指している選手は山ほどいる。1試合投げただけでクビになる選手もいるほど競争はし烈です。プレーしたのはアイダホとワシントン。アイダホはパイオニア・リーグというMLBパートナーシップリーグの提携先で、MLBのスカウト達がずっと見ている環境です。シーズン中でも良い選手はすぐに引き抜かれていきます。ワシントンはフロンティア・リーグ。レベルでいえば少しだけフロンティアの方が高いかなっていうところです。自分が在籍していた時は、先発ピッチャーの登板が週に6試合あるんですけど、その先発全員がマイナーリーグに引き抜かれていった。それくらいレベルが高かったです」
MLBの「匂い」が感じられるほどのハイレベル。ただ、そこでは明確な課題にぶつかることになる。巧みに変化球で芯を外しても圧巻のパワーで内野の間を抜けたり、外野の前に落とされたり。チームの首脳陣からはハードヒットされていない「内容」は評価されながらも、防御率といった数字はついてこなかった。
「独立リーグの2球団で打たれたヒットは全部シングルヒット。そのうち打球速度が145キロを超えたのが2本だけ。それもゴロヒットでした」
持ち味を生かした「柔よく剛を制す」。ただ、結果に結びつかない日々が続いたことで大きな決断を下すことになった。7月には所属していた2球団目のチームを自主退団して帰国。決断には明確な理由があった。
「実はまた違う(3チーム目となる)チームにトレードされる予定でした。その時にダラダラやっていても自分の目標に近づけないと感じました。もう3、4段階上がるためにはバットの芯を外すだけではなくてストレートの強さが必要になる。そこを変えていったら可能性があるという考えに至りました。それだったら日本に帰った方がいいなと」
進化のために必要なピースは日本にあると確信していた。帰国後、あるトレーナーにコンタクトを取った。(後編に続く)
◇奥村 秀斗(おくむら・しゅうと)2003年9月25日、米ミシガン州生まれ、大阪府高槻市出身の23歳。南平台小1年から本山フレンズで野球を始め、中学時代は関西高槻中央ボーイズでプレー。天理(奈良)では2年秋、3年春夏にベンチ入りし、甲子園出場はなし。1メートル75、80キロ。遠投100メートル。憧れの選手はタイラー・ロジャース。右投げ右打ち。
2026年10月17日 16時18分