広島とヤクルトでプレーした小早川毅彦氏(64)が26日に放送されたBS10の野球トークバラエティー「ダグアウト!!!」(月曜後9・00)にゲスト出演。一緒にゲスト出演した元広島監督の達川光男氏(71)について「なんてデリカシーがないんだ」とショックを受けながらも直後に感謝したエピソードを語った。
PL学園、法政大を経て1983年ドラフト2位で広島入りし、1997年に移籍したヤクルトで1999年シーズンを最後に現役引退した小早川氏。現役引退後には広島でコーチも務めた。
そんな小早川氏だが、巨人ファンにとっては忘れられない出来事がある。
それは1987年9月20日に行われた広島―巨人戦(広島市民球場)のこと。
巨人の先発マウンドに上がっていた江川卓は広島の4番・小早川から7回に同点ソロを被弾すると、9回には小早川に2打席連発となる逆転サヨナラ2ランを浴びた。
完投負けとなった江川はマウンドに膝をついたまま、しばらく動けず。その年限りで現役引退することになる江川は、この小早川に打たれた本塁打で引退を決意したと会見で告白。右肩痛との戦いがあったものの、高校時代から“怪物”と呼ばれた江川卓氏(71)が32歳という若さで引退したことは当時の日本列島に大きな衝撃を与えた。
江川と言えば小早川、小早川と言えば江川。そう思い出す野球ファンも多いが、それは小早川氏にとってもショッキングな出来事だった。
番組中、達川氏と江川氏が同学年でもあることから江川氏についての話になると、達川氏は「あのバットもうないの?」と質問。小早川氏は「ありますよ。家にあります。飾ってはないですけど、あります。あれだけあります」と答えた。それだけ思い出に残るバットだ。
そして、小早川氏は「達川さんがソフトバンクのコーチしている時に…」と語り出す。
それは2月のこと。小早川氏がソフトバンクの宮崎キャンプを取材のために訪れると、偶然、江川氏も取材のため同日訪問。あいさつをかわしたあと、小早川氏は打撃ケージの後ろで練習を見ていたという。
すると、捕手陣のフリー打撃が始まったことから達川コーチがケージ裏へ。2人でいろいろ話していると、達川コーチが「おっ!そういえば江川が来とったな」と言って三塁側ベンチにいた江川氏を呼び寄せ、打撃ケージの裏に3人がそろう形になった。
「達川さんは捕手の特徴ですとか、打撃の傾向ですとか、江川さんと僕に話をしてくれていたんです。その時に突然“江川!そういや、お前、小早川に打たれて辞めたんだったよな!”ってひとこと言ったんですよ。それね、あのホームランから30年後だったんです、ちょうど」と2017年のことだったと明かした。
「僕ね、30年間そのことを…。僕のほうが後輩なんです、法政大学の。後輩の僕のほうから江川さんに振るわけにはいかないので、ず~っとなんか心の中でちょっとトゲみたいな感じで残ってたんですよ。話、全くしたことなかったんです、そのホームランに関して。突然あの時ね、達川さんがおっしゃったので“うわっ!達川さん、なんてデリカシーがないんだ”って。もともとね、もともと僕の中ではどちらかというとそういう…ね。達川さんはそういうことを平気で口に出す、おっしゃるっていうふうには思ってたけど、改めて心の中で“達川さんデリカシーないな”って思いながら…」
だが、ここで救ってくれたのが江川氏本人の「達川、でもあの一球はね、本当に納得のできる一球だったんだよ」という一言だった。
「すぐ言ってくれたんですよ、江川さんが」と回想する小早川氏。
「それを聞いてトゲがス~ッとなくなったんです」と30年という長い年月を経てようやく解放されたと明かし、「デリカシーがないなと思ってたんですけど“達川さん、ありがとうございました”っていうふうに…言葉には出さないけど、そういうふうになりました」と最後は感謝したと笑顔で振り返った。
なお、デリカシーのない?達川氏は「ええ話やねぇ~!」と妙に納得。こちらも笑顔だった。
2026年10月30日 17時10分