広告大手の電通に勤務する島崎竜さん(29)はJ1川崎フロンターレのアカデミーで活躍した元アスリートだ。同期のMF三笘薫(29=ブライトン)らと交流を深め、高校卒業後は米メジャーリーグ・サッカー(MLS)挑戦を夢見てバージニア・コモンウェルス大(VCU)進学を決めた。
英語を話せなかった島崎さんの入学条件は授業と並行して学内の語学学校に通うこと。
「最初は“コーチ、何言ってんだろ?”みたいな感じで戦術の理解も苦労しました。言いたいことが言えないストレスも大きくて」
それでも1年目は語学学校分も含めて2倍の授業をこなし、リスニング改善のため米人気ドラマ「フレンズ」の全10シーズンを5度鑑賞。「ラジオのようにずっと聞いて、出てきたフレーズを会話で使ったり」。出場機会は限られたが、2年目には右サイドバックに定着。入学時は80位程度だったチームの全米ランキングも2年時には16位まで上昇した。
意見や価値観が異なる相手との交流術も学んだ。「本当にいろんな人種の仲間がいて考え方からバックグラウンドまで全く違う」。島崎さんらプロを目指す留学生は奨学金のために結果も必要。「目的の終着点を合わせ、どう持っていくか意思疎通を試行錯誤して。それは仕事を進めることにも凄く生きている」。英語が苦手だった1年目からフレンドリーな人柄で誰とも話し「溝があった」という米国人学生と留学生の間を橋渡し。選手としても力を付け、4年目のシーズンを終えた2020年にはMLSのコロンバス・クルーからドラフト3巡目で指名を受けた。
先に契約していたニューイングランド・レボリューションのセカンドチームでプレーすることになったが、MLS2チームからオファーを受けるまでの選手になった。結果的にはプレシーズンでいきなりコロナ禍に見舞われて日本への一時帰国を余儀なくされ、ずれ込んだシーズン開幕後も3部相当のリーグで7試合1得点にとどまった。契約満了で退団し、MLSでプレーする夢は実現しなかったが、異国での経験は人生の糧になっている。
21年の帰国後は楽天への就職を経て、25年9月からサッカーW杯や五輪など国際的なスポーツイベントとも関係が深い電通に勤務。島崎さんは「サッカーとは最終的にどういう形でも関わりたいな、と思っています。広告業界なら、いろんな形で可能。したいことができるように“今、頑張っておく”という感じですね」と話す。海外チームの日本ツアーやW杯に関わることになれば、現在も私生活で交流が続く三笘をいつか舞台裏で支える機会もあるかもしれない。=終わり=
◇島崎 竜(しまざき・りょう)1997年(平9)4月19日生まれ、川崎市出身の29歳。幼稚園からサッカーを始め、小学生からリバーFCで活動。中学時代に川崎Fのアカデミーに加入し、高校卒業後は米バージニア・コモンウェルス大(VCU)に進学。2020年には米MLSニューイングランドのセカンドチームに加入し、3部相当のリーグで7試合に出場、1得点を記録した。21年に楽天グループ株式会社に入社。25年に株式会社電通へ入社し、現在はビジネスプロデューサーとして勤務している。
2026年10月23日 08時31分