【WS舞台裏②】44年ぶりのワールドシリーズ(WS)進出に、ミルウォーキーの街が沸いている。ブルワーズの本拠地アメリカンファミリー・フィールドで行われた23日(日本時間24日)の第1戦は4万3250人の満員御礼。チケット人気も過熱し、米紙USAトゥデーによると、前日時点で転売サイト「StubHub」の最低価格は2309ドル(約35万円)にまで高騰した。
その熱狂は野球界にとどまらない。同じミルウォーキーを本拠地とする米プロバスケットボールNBAのバックスも、この日がホーム開幕戦。ブルズ戦は当初、午後7時開始の予定だったが、WS第1戦と重なるため、午後3時に4時間前倒しされた。
バックスは16日の時点で変更を発表。「ミルウォーキー、ウィスコンシン州のスポーツファンにとって特別なこと。ワールドシリーズ制覇への挑戦を応援しています」と声明を出した。ホーム開幕戦を平日の午後に開催するのは、興行面で決して簡単な判断ではない。それでも同じ街の球団の晴れ舞台を優先した姿勢は、地元ファンから喝采を浴びた。
記者自身も23日、WSの取材に先立ってバックスのホームアリーナ「ファイサーブ・フォーラム」へ足を運んだ。時間変更の影響もあってか、開幕戦ながら客席には空席も見られた。気になったのは、バックスの選手たちが今回の変更をどう受け止めているかだった。
ベテランのジェリコ・シムズは「時間を変えてくれたおかげで野球が見られるからよかったよ」とにんまり。八村塁とウィザーズ時代に同僚だったカイル・クーズマも「普段は野球にはそんなに興味はないんだけど、ミルウォーキーがこれほど盛り上がっているのはすごいことだ。試合が本当に楽しみだね」と満面の笑みを浮かべた。
実際、クーズマをはじめ、バックスの選手の半数以上が試合後に野球場へ駆けつけたという。競技は違っても、44年ぶりの大舞台をともに盛り上げようとしていた。
その話をブルワーズの左腕ロバート・ガサーに伝えると、うれしそうに目を細めた。
「本当にありがたいことだ。バックスは今回の変更によって、観客や収入が減った可能性もある。それでも両チームともがミルウォーキーにとって大切な存在だし、僕たちのことを尊重してくれている。こういう対応をしてくれるのは、本当にうれしいね」
人口規模では決して大きくないミルウォーキー。だからこそ、地元の球団同士にも強い連帯感があるのかもしれない。
第2、6、7戦も転売サイトでは最低価格が2000ドル(約31万4000円)を超えるなど、チケット争奪戦は続く。ブルワーズが目指すのは球団史上初の世界一。その挑戦を、野球ファンだけでなく、街全体が後押ししている。(ミルウォーキー・杉浦大介通信員)
2026年10月24日 14時05分