タンパベイ・レイズの人気マスコット「DJキティ」は、球場近くのゴミ置き場で発見された一匹の猫から生まれた。米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が、その知られざる誕生秘話を報じた。
モデルとなったのは、白黒の毛並みがタキシードのように見える猫「アナベル」。トロピカーナ・フィールド近くで発見され、球団職員らに引き取られた後、当時ブランド戦略などを担当していたダーシー・レイモンド副社長の自宅で暮らしていた。
2010年、レイズは試合の合間に観客を楽しませる新たな演出を模索していた。参考にしたのは、エンゼルスの人気キャラクター「ラリー・モンキー」。最初はアナベルがピアノを弾く動画を制作したが、観客の反応は鈍かった。そこで考案したのが、猫がDJになって音楽を流すという企画だった。
レイモンド氏らはアナベルに小さなレイズのユニホームを着せ、帽子を後ろ向きにかぶせた。さらに首から2008年のリーグ優勝決定シリーズの記念リングを下げ、後ろから前脚を動かしてターンテーブルを操作しているように撮影した。完成した約80秒の動画を同年9月に球場の大型スクリーンで上映すると、観客は熱狂。YouTubeでも拡散し、海外でも人気を集めた。元エースのジェームズ・シールズ氏は「僕たちにとってのラリー・モンキーだった」と振り返る。
DJキティはその後、球団の公式マスコットに昇格した。一方、本物のアナベルはレイモンド氏とともにカナダへ移住し、数年後に推定15歳前後で生涯を終えた。レイモンド氏は「3人の飼い主に引き取られた野良猫が、最後には世界中の人々に愛されるようになった」と語る。
ブルワーズとのワールドシリーズで本拠地に戻ってきたレイズ。資金力では大都市球団に及ばなくても、独創的な発想で独自の文化を築いてきた球団の歴史を、DJキティの物語が象徴している。
2026年10月27日 09時21分