来年3月18日の国際サッカー連盟(FIFA)会長選(モロッコ・ラバト)に立候補を表明した日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三名誉会長(68)が7日までにスポニチ本紙の単独インタビューに応じた。今夏のW杯北中米大会での政治介入や過剰な商業主義で猛批判を浴びる現職のジャンニ・インファンティノ会長(56)の4選阻止に挑む戦い。現時点の勝率を2~3割と自己分析した上で、腐敗したFIFAを変えるために全力で戦い抜く覚悟を示した。 (取材・構成 木本 新也)
世界を驚かせた5日の出馬表明の直後から田嶋名誉会長の元には国内外からエールが殺到している。立候補期限は今月18日。正式出馬には既に推薦を受けているJFAを含めた5つの協会から支持を集める必要があるが、見通しは明るい。
「よくぞ言ってくれた、という声をたくさん頂いた。選挙の注目度の高さ、インファンティノ会長に批判的な方が多いことを改めて感じた。アジア以外も含めて8カ国の会長や国際部の方から連絡が来た。まだ正式な推薦はないが、手応えはある。時間が短い中で不備のある書類が来ると困るので6協会以上は確保したい」
海外メディアでは欧州サッカー連盟(UEFA)の後ろ盾があると報じられるが「推してくれるならありがたいが、まだUEFAと具体的な話はしていない」と否定。その上で各大陸での得票の見通しを明かした。
「アジアが最も厳しいと思う。インファンティノ会長を推す(AFCの)サルマン会長が引き締めにかかるのは間違いない。アフリカはUEFAとのつながりが強い国もあるのでチャンスはある。南米は結束が固いが、今後の選挙活動でFIFAをどう変えたいかをしっかり訴えたい」
サッカーの信頼を揺るがす騒動を連発したインファンティノ会長に異を唱え、高潔性の重要性を訴える戦い。FIFAをどう変えていくのか。
「いいものは残して悪いものは変える。インファンティノ会長は男女のU―17W杯を毎年開催するとか、今年からU―15W杯を全211協会が参加する大会に変えるなど普及に非常に投資している。そこはポジティブ。最も良くないのは、やはりガバナンスの部分。FFE(商業事業や大会運営を子会社へ移管する構想)もそうだし、お金の分配などが一部の独断で決まるのはおかしい」
15日はマニラで東南アジアサッカー連盟の総会に出席予定だ。本格的な選挙戦を前に個人保有していた株式の一部を売却して約3000万円の活動資金を用意。JFAの会長、副会長時代にはFIFA理事の報酬の大半をJFAに寄付し、総額は2億5000万円以上に上る。サッカーと向き合う上で私利私欲や利害関係を排除する「無私」が信条。この言葉はJFAハウス内の名誉会長室にも張られている。
「無私は座右の銘。FIFAのトップを務めるとはそういうこと。現段階で勝てる確率は2~3割程度だと思うが、選挙戦が進む中で自分の中の手応えを4割、5割と上げていきたい。FIFAを本当に変えたい」
▽FIFA会長選 4年ごとに行われ、次回は来年3月18日。会長の任期は1期4年で原則3期まで。候補の要件はサッカー界での現役の活動経験(選手、クラブ・協会の役員など)があること。投票は各国協会1票で無記名。候補者が2人なら過半数で当選。3人以上なら3分の2の得票で当選し、満たない場合は最下位が落選して2人になるまで繰り返す。出馬の締め切りは今月18日。立候補者は211ある加盟協会のうち、最低5つの協会からの支持が必要。6日時点で立候補者はインファンティノ氏、田嶋氏、元スイス代表DFラモン・ベガ氏の3人。
◇田嶋 幸三(たしま・こうぞう)1957年(昭32)11月21日生まれ、熊本県出身の68歳。浦和南でFWとして活躍し、全国高校選手権で優勝。筑波大時代には日本代表に選出。古河電工を経て指導者になり、立大コーチやU―17日本代表監督などを歴任。その後はJFAで技術委員長、専務理事、副会長などを経て16年3月から24年3月まで会長。現在は名誉会長。FIFA理事、AFC理事なども務める。
≪逆風 カリブ連合がインファンティノ氏支持発表≫カリブ海サッカー連合(CFU)は6日、来年3月のFIFA会長選でインファンティノ会長の再選を支持すると発表した。声明で「インフラ投資や技術プログラムなど発展戦略を評価している」と現行体制による恩恵に言及。「資源増加と継続的支援の見通しの下で競技発展に注力している」と訴えた。CFUは加盟31協会のうち、25協会がFIFA加盟国で会長選の投票権があり、今回の決定はJFAの田嶋名誉会長にとって逆風になる。
2026年11月08日 05時00分