MLBがアリゾナ・フォールリーグ(AFL)で試験導入している新たな外野守備位置規制が、劇的な結果を生んでいる。米野球専門誌「ベースボール・アメリカ」が28日(日本時間29日)に報じた。
規制を導入した球場では、他の球場と比較して二塁打が81%、三塁打が236%も増加したという。実験が行われているのは、ダイヤモンドバックスとロッキーズの春季キャンプ施設でもあるソルトリバー・フィールド。両翼の外野手を通常より浅く、ファウルライン寄りに配置し、中堅手も大幅に浅く守らせる。外野の芝生には守備区域を示す目印が設けられ、投球前に指定区域から外れることは禁止される。左中間、右中間に広い空間をつくり、二塁打や三塁打を増やすのが狙いだ。
10月26日までの9試合で、1試合平均得点は15.89点。規制のない他球場の11.82点を34%上回った。平均安打数も15.20本から20本へ32%増加。二塁打は2.70本から4.89本、三塁打は0.66本から2.22本へと急増した。
現地取材したイアン・カンダル記者によると、両翼の守備位置は通常より約12~14メートル浅く、中堅手も約10メートル浅い。外野手が追いつけない打球が続出し、足の速くない捕手が左中間へのライナーで楽々と三塁打を記録した例もあった。通常なら平凡な外野フライになる打球が、外野手の頭上を越える場面も見られた。
一方、現地で観戦したスカウトたちの評価は、ほぼ一様に否定的だった。守備位置を制限することで、本来捕球できる打球まで長打になってしまうからだ。仮にメジャーで導入されれば、外野手にはこれまで以上に広い守備範囲が求められ、守備力の低い選手を両翼に配置することも難しくなる。
MLBが目指すのは、本塁打と三振に偏りがちな野球から、外野の間を抜ける打球や走者の激走を楽しめる野球への変化だ。ただ、9試合という限られたデータであり、規制によって生まれる長打をどう評価するか。今後の議論を呼びそうだ。
2026年10月29日 08時13分