◇ワールドシリーズ第5戦 ブルワーズ4―1レイズ(2026年10月28日 セントピーターズバーグ)
ワールドシリーズ(WS)は28日(日本時間29日)、ブルワーズがレイズを4―1で下して4勝1敗とし、球団創設58年目で初制覇を遂げた。昨年のナ・リーグ優勝決定シリーズでは、ドジャースに4戦全敗で敗退という屈辱を味わった。その1年後。今度はドジャースに4連勝してWSに進出し、そのまま世界一に駆け上がった。レイズは初優勝を逃した。
マウンド付近に歓喜の輪ができる。今季年俸総額は30球団中19位のスモールマーケットながら、機動力を使ったつなぎの野球で頂点に立った。
パット・マーフィー監督が「あの敗れた経験から学び、成長できた」と回想したのがドジャースに4戦全敗で敗退した昨年のナ・リーグ優勝決定シリーズ。「今年に懸ける特別な闘志がチーム全体にあった」と振り返る。
昨年、地区シリーズを突破した際は全てを成し遂げたかのように狂喜乱舞した。一方、自分たちをスイープしたドジャースナインは対照的で「まるで春季キャンプの試合後のような雰囲気だった」と2番打者バウアーズは振り返る。「最後の試合が終わるまでは前に進み続けなければいけない、と考えるモチベーションになった」と続けた。シリーズMVPに輝いたコントレラス、剛腕ミジオロウスキーらにも浸透した。
マーフィー監督はNPB球団の指導法にも興味があり、お気に入りの球団は楽天。「日本に俺の職はないかい?」と真顔で質問するほどだ。大学野球での長い指導歴もある。野手に全国区のスターは少なくとも、走者を次の塁に進め1点をもぎ取る。ポストシーズンでは計4犠打を記録した。8月に22歳の新人プラットが小飛球を打った際に全力疾走を怠り、交代を告げたこともあった。
そのプラットが2回に4試合連続打点となる中前適時打を放って先制点を奪うと、束になってレイズの投手陣を攻略した。5回は9番ハミルトンの適時打で加点。6回は4番コントレラスの適時二塁打などでリードを広げた。
資金力はなくとも、データ部門を含め優秀な人材を適切な場所に配置。スカウト部門とコーチ陣の密な連携で、選手の獲得から育成まで多くの時間と労力をかけてきた。組織で今季メジャー最高勝率も記録。マーフィー監督は「選手たちが不屈の精神で戦い抜いた結果だ。小さなことをきちんとやり続けた」と称えた。ポストシーズン11勝2敗の圧倒的な強さで突っ走った。(杉浦大介通信員)
▽ブルワーズ 69年にシアトル・パイロッツとしてア・リーグに参加。70年にミルウォーキーへ移転し、地域に根付くビール醸造から「醸造者」を意味する現在のチーム名に変更した。82年にリーグ優勝したがワールドシリーズで敗れた。98年からナ・リーグに所属。日本選手は野茂英雄、斎藤隆、青木宣親らがプレー。本拠地球場は屋根が開閉式のアメリカンファミリー・フィールド。
≪初優勝までの期間はメジャー史上5番目の長さ≫ブルワーズは球団創設58年目で初の世界一。初優勝までの57シーズンは、1980年に創設98年目で初優勝したフィリーズの97シーズンなどに次ぎ、メジャー史上5番目の長さだった。レイズは08、20年に続く3度目のWS出場でも初優勝を逃した。ブ軍の初優勝によって、世界一未経験球団はマリナーズ、パドレス、レイズ、ロッキーズの4球団となった。ブ軍の新人遊撃手プラットはシリーズ新記録の6打数連続安打を放ち、7打点は新人最多タイ。22歳以下のチョウリオ(11安打)とプラット(8安打)は、同一ポストシーズンのシリーズでともに8安打以上を記録した史上初のコンビとなった。
2026年10月30日 01時30分