◇全日本大学駅伝(2026年11月1日 愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮=8区間106・8キロ)
早大が3冠に王手をかけた。10月の出雲駅伝に続き、5時間3分31秒の大会新記録で16年ぶり6度目の優勝。本田桜二郎が1区2位と好発進を決め、3大駅伝デビューの2区増子陽太、3区新妻遼己が区間新記録をマーク。「令和の三羽がらす」と呼ばれる1年生トリオが独走態勢を築き、2位・国学院大に3分34秒差をつける圧勝だった。創価大が3位に入り、出雲11位の青学大は4位だった。
誰が予想できただろうか。3区以降、影すら踏ませない早大の独走劇を1年生だけで演出した。1区本田が2秒差の2位でつなぎ、2区増子が区間新記録で先頭へ。3区新妻は“最強留学生”と称された21年ヴィンセント(東京国際大)の記録を1秒上回る走りで後続を突き放した。「せっかくなので1、2、3と並べても面白い」。そう大胆に区間配置した花田勝彦監督の想像も、三羽がらすは大きく超えてきた。
“三羽目”がベールを脱いだ。増子は今季前半の疲労を考慮され、出雲駅伝は温存された。先に3大駅伝デビューを果たした本田は2区区間賞、新妻は4区区間新で16年ぶりの優勝に大きく貢献。心から応援していたからこそ「自分も全力でもっと頑張らないと」と身が引き締まった。1週間前の体調不良で、この日は決して万全と言える状態ではなかったが、昨年の全国高校駅伝1区で日本人最高記録を出した実力は本物。8キロ過ぎに仕掛けて先頭集団から抜け出し、楠岡(帝京大)と同タイムの区間新で中継所に飛び込んだ。
自信たっぷりにレースに臨む本田、新妻とは対照的に「自分は緊張でガチガチになる選手」。2人の強気な姿勢から吸収することは多く、入学後は「気持ちのコントロールがうまくなった」と言う。「ライバルであり心強い仲間」と絆を深めてきた同期とのたすきリレーはデビュー戦から実現。「2人から力をもらったレースだった」と増子は誇らしげに言った。
花田監督が「後半区間に強い選手がいるから彼ら(1年生)も心理的に優位に走れた」と言うように、5区鈴木が区間新、8区工藤も区間賞でフィニッシュテープを切った。22年駒大の大会記録を3分16秒も大幅更新。青学大の原監督が「実業団を含めて過去最強チーム。(実業団王者の)GMOより強い」と最大級の賛辞を贈る強さで伊勢路も制した。
来年1月の箱根駅伝では16年ぶりの3冠が懸かる。4区希望の増子は「距離が延びる不安はない」と言い切った。ルーキーの勢いに総合力の高さ。ワセダの黄金時代が始まろうとしている。
▽早大三羽がらす 90年に入学した花田勝彦監督は同期の櫛部静二、武井隆次とともに「早大三羽がらす」と呼ばれた。3年時には全日本と箱根を制するなど、2学年下の渡辺康幸らとともに90年代前半に黄金時代を築いた。今年入学した増子陽太、新妻遼己、本田桜二郎は「令和の三羽がらす」と呼ばれる。
2026年11月02日 05時30分