俳優の山﨑努(89)のドキュメンタリー映画「山﨑リバーサイド―俳優の肩ごしに―」(監督犬童一心、来年公開予定)が2日、東京国際映画祭で特別上映された。山﨑は犬童監督とともに舞台あいさつに登壇。俳優の渡辺謙(67)がサプライズで祝福に駆け付けた。
山﨑が映画の舞台あいさつに出席するのは、2018年の主演作「モリのいる場所」の初日以来。つえを突いてはいるものの足取りはしっかりとしており、「今日はどうもありがとう」と客席に語りかけると、観客は盛大な拍手で迎えた。
24年に患ったステージ4の食道がんを克服した後に撮影。本人のロングインタビューを軸に、渡辺、柄本明、山田洋次監督らの証言で構成されている。「無心でカメラの前にいること。それが僕の目的だった。病み上がりだったもので、この世の皆さんへのお別れのメッセージという思いが心の隅にあった」と作品に込めた思いを明かした。
渡辺は観客との質疑応答中に、司会からの紹介もなくいきなり登場。1985年に山﨑がプロデュースした舞台「ピサロ」に抜てきされ、同年の映画「タンポポ」で共演して以降、師と仰ぐ存在だ。映画を見て「山さんがどうやって生きてきたのかが、宝物のようにちりばめられている。門下生として見て、聞いて、一緒にやってきたことが呼び起こされ、近い関係だがかなり感動した」と称えた。
山﨑は今年が俳優生活70周年の節目で、12月には卒寿を迎えるが「実感なんてないし、やめる気もない」と堂々宣言。そして「毎日が新鮮で、楽しく不安で夢中になっているうちにたってしまった。自分では7年くらいのつもりでいる」と冗談めかすと、渡辺がすかさず「犬の年齢じゃないんだから」とツッコみ、会場はこの日一番の拍手に包まれた。 (鈴木 元)
2026年11月03日 05時30分