【牧 元一の孤人焦点】来年2月5日公開の映画「過怠」(山本英監督)に出演した俳優の荒木飛羽(21)が開催中の東京国際映画祭で初めてレッドカーペットを歩いた。
「たくさんの方々に集まって頂き、うれしかったです。皆さんとの距離も近く、その場でサインをしたり写真を撮ったり、普段できない経験をさせて頂きました」
レッドカーペットに導いたのはコンペティション部門に出品された「過怠」。荒木は俳優の知英(32)が演じた主人公の1人・菜々子の弟・宮本一輝を演じた。
「『家族とは何なのか』『血のつながりとは何なのか』というテーマのもと、運命に翻弄されながらも、それぞれが前に進もうとする姿を、自身に投影しながら見て頂ければと思います」
作家の谷村志穂さんの同名小説が原作で、受精卵の取り違えで生活環境が入れ違ってしまった2人の人生が交差する物語。展開としては重く厳しいが、それに関わる主要人物の多くが柔らかくて温かく、見ていると、人間の美しい心、血縁や国籍を超える愛が感じられる。特に菜々子とソン・カウン(キム・ジョンヨン)の対話シーンは静かで深く、自然に涙を誘う。
一輝は菜々子が自身の道を切り開こうとする中、父・壮平(鈴木卓爾)、母・みずき(黒沢あすか)との間に入る役割を果たすが、その芝居には荒木が生み出す実直さ、純粋さがよく表れて印象的だ。
「親にとっては動揺せざるを得ない問題ですが、弟として姉を大切にする気持ちや素直になれないところなどを大事に演じました。この作品で、どういう環境であれブレない心を持ち続けることの大切さを感じ得ました」
一緒にレッドカーペットを歩くに至った知英とは初共演だった。
「普段は気さくで温かい人柄ですが、カメラが回った瞬間、圧倒的な集中力と瞬発力を発揮される方です。お芝居を拝見し、間の取り方や目線の動きなどが勉強になりました」
荒木は小学生の頃にスカウトされ、子役として2014年のドラマ「死神くん」でデビュー。18年の大河ドラマ「西郷どん」や同年の連続テレビ小説「半分、青い。」、19年のドラマ「あなたの番です」などに出演。22年の「少年のアビス」で連続ドラマ初主演、今年4月公開の映画「炎かがよへ」に主演し、現在放送中のドラマ「俺たちの箱根駅伝」にも出演。いま注目の若手俳優だ。
「幅広くいろんな役に挑戦していきたいのですが、特にサイコパスのような役をやってみたいです」
来年以降ますます目が離せない。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。
2026年11月03日 09時00分