AP通信は20日(日本時間21日)、ブルワーズを1982年以来、44年ぶりのワールドシリーズ進出に導いたパット・マーフィー監督(67)の人物像を、大学時代の教え子たちの証言を通じて紹介した。
ノートルダム大学やアリゾナ州立大学で25年以上にわたり指導し、大学野球で通算1000勝を挙げた名将。その成功の原点は、約40年前から変わらない指導哲学にあるという。ブルワーズがドジャースを4連勝で下してナ・リーグ優勝を決めた後、マーフィー監督は「ドジャースには殿堂入りするような選手たちがいる。しかし、我々には勝負師たちがいる」と語った。
89年から92年までノートルダム大学で指導を受けたコーリー・ミー氏は「まるでデジャブのようだ。以前にも聞いたことがある」と懐かしんだ。86年から89年まで同大学でプレーしたマイク・モシアー氏も「彼には一つの公式がある。アルゴリズムは40年前と今とで同じだ」と証言した。
その「公式」とは、基本に忠実なプレー、自信を植え付けること、相手より努力すること、野球を楽しむこと、そしてあらゆる困難に備えることだ。象徴的なのが1989年のノートルダム大学でのエピソード。NCAAトーナメント出場権を懸けた地区大会で、5連勝しなければシーズンが終わる状況に追い込まれた。しかも雨天中断の影響で、最後の4試合を22時間以内に戦わなければならなかった。
そこでマーフィー監督は、目標達成までの45イニングを一つずつマス目にした「泥のチャート」を作成。チームがそのイニングを勝つか引き分けるたびに、土と水を使ってマス目に親指の跡を押した。選手たちは目の前の1イニングに集中し、奇跡的な5連勝を達成。1970年以来初のNCAAトーナメント出場を果たした。
大学時代の指導は極めて厳しかった。大敗した試合の後、選手たちに走り込みを命じ、限界まで追い込むこともあった。元投手のクリス・ミハラク氏は「練習は決して楽ではなかった。でも、練習の後では試合が簡単に感じられた。試合が楽しくなった」と振り返る。
一方で、選手の性格を変えようとするユニークな試みもあった。後にブルワーズ監督となるクレイグ・カウンセル氏は、大学時代に内気な性格を克服させようと、守備練習でゴロを捕るたびに「マイン!(俺が捕る!)」と叫ぶよう命じられたという。マーフィー監督は「彼のリーダーシップを引き出そうとしたが、あれは失敗だった。そんなことをしなくても彼は立派にやっていけた」と笑って振り返った。
マーフィー監督は2015年にパドレスの暫定監督を務めた後、ブルワーズでカウンセル監督のベンチコーチとなり、23年オフに監督へ昇格した。かつての教え子であるカウンセル氏は、恩師がメジャーでも成功した理由について「彼の指導法には偽りがない。それが彼自身なんだ。自分らしくあることが大切で、彼はそれを実践している」と評価した。
マーフィー監督は今季も、全力疾走が不十分だと判断した主力捕手ウィリアム・コントレラスや新人クーパー・プラットを試合途中で交代させるなど、基本プレーへの厳しさを貫いている。
2026年10月21日 08時05分