【君島圭介のスポーツと人間】
阪神はCSファイナルステージでDeNAに敗れ、日本シリーズ進出の切符を逃した。
この瞬間に球団初のセ・リーグ連覇を果たした2026年シーズンが終戦。力を出し切れなかった選手は悔しくて仕方なかったはずだ。それでも右翼席の応援団に駆け足であいさつに向かい、美しい横一線をつくって帽子を取り、頭を下げた。
今季、中日の選手がホーム最終戦でガムをかみながらあいさつしたことが批判された。
CSファーストステージで敗退した巨人ナインはあいさつの際にファンからブーイングを受けた。SNS等にスタンドから撮影した動画が出回っていたが、ファンは負けた事実より、ゆっくりとばらばらに歩いてくる姿にいら立っているように感じた。
高校野球の話に飛ぶが、2024年の秋季関東大会決勝で、横浜(神奈川)が延長タイブレークの末、健大高崎(群馬)にサヨナラ勝ち。ナインが駆け集まって歓喜の輪をつくった。
たが、審判団がプレート後方に並ぶと、横浜ナインの歓喜の輪がほどけ、瞬く間に阿部葉太主将(現早大)を先頭に一糸乱れぬ整列隊形に変わった。
恐るべきキャプテンシー。村田浩明監督が名門の主将に1年生だった阿部を任命した理由が分かった。
たかが整列というけれど、そこにはチームの文化や精神が反映されていると思っている。その色を決めるのはチームリーダーである主将の存在だ。それはプロ球団でも変わらない。
阪神の美しい整列が解かれたとき、この試合の9回2死から逆転の2点適時打を浴びた工藤泰成は、支えていた最後の1本の糸が切れたかのように膝から崩れ落ちた。
その肩を抱きかかえて寄り添ったのは、主将の坂本誠志郎だった。
日本一への挑戦権は逃したが、阪神は来シーズンも強い。そう思える甲子園のワンシーンだった。
2026年10月17日 22時56分