【悲願の松井監督誕生】謙虚な言葉が並んだ。巨人・松井新監督は23日の就任会見で「私は指導者の経験はほぼ、ありません。そこが12球団の監督の中で一番、劣っている部分」と言った。希代のスーパースターにとって新たな挑戦だが、過去5度の春季キャンプでの臨時コーチ経験がプラスに働くはずだ。
「実績」が指導力を物語る。16年に坂本を指導した際には「軸足に8~9割体重を残す」間の取り方を伝授した。坂本も「自分の感覚とは違ったので凄く参考になった」と打撃フォームの大改造に着手し、逆方向への打撃も磨き、打率・344をマークして自身初の首位打者に輝いた。
18年は前年までの3年間で1本塁打の岡本に「軸足が早くほどけると力をロスする。下半身にしっかり意識を持つように」などと助言。同年、打率・309、33本塁打、100打点をマークし、一気に才能が開花した。ヤンキースでは、マイナー時代のジャッジも指導。大打者の裏に松井新監督の存在があった例は多く、日米通算507本塁打の「松井秀喜」の名前とともに、指導で発する一言の影響力は大きいだろう。
かつて、ソフトバンク・王貞治会長は、95年にダイエー監督に就任した。「世界の王」と神格化されて恐縮しきりの選手が多く、低迷は続いた。99年に見かねた当時の球団社長だった故根本陸夫氏が「何を緊張しているんだ。この人はラーメン屋のせがれなんだぞ」とはっぱをかけて監督と選手の垣根を取り払い、同年の初優勝につながったという。
一方の松井新監督。今春キャンプでも臨時コーチを務めたことが“追い風”になる。現在の選手で初対面は少なく、既に多くの選手のおおまかな特徴は把握済み。2年目の石塚や、ドラフト6位の藤井ら、若手とも積極的に交流して、溶け込む土壌はできているだけに、萎縮される心配はなさそうだ。
臨時コーチと指揮官では、責任の重さはもちろん違う。だからこそ、会見では「選手と伴走し、そして、一緒に成長していきたい」と強調した。選手に寄り添い、手探りながらも“ゴジラ流”の指揮官像をつくり上げていく。 (巨人取材班)
2026年10月27日 05時48分