【WS舞台裏⑥】44年ぶりのワールドシリーズ(WS)進出に沸くブルワーズとは対照的に、レイズにとっても5年ぶりの大舞台。そのチームを裏方として支えるアスレチックトレーナー兼鍼灸(しんきゅう)師の福田紳一郎氏(41)にとって、2度目のWSは格別なものとなっている。
「2020年とはまったく違う。この本物のワールドシリーズを経験できて、お客さんも超満員。選手の緊張感も全然変わってくるので、すごく楽しいですね」
初出場した20年は新型コロナウイルス禍による異例の開催方式だった。今回は満員の大観衆に囲まれ、レギュラーシーズンでリーグ最高勝率を挙げたチームとともに世界一を目指す。「本当に一球一球で流れが変わるのがポストシーズンの醍醐味です」と目を輝かせた。
そんな福田氏には、今回の大舞台にたどり着く前に実現を願っていた「夢の対決」があった。相手はホワイトソックスのアスレチックトレーナー、キム・ヒョン氏(41)。同じ1985年生まれで、米アラバマ州のトロイ大学で出会った親友だ。
「僕が2007年8月に留学すると、ヒョンはもう4年生でした。以降もずっと家族ぐるみの付き合いを続けてきたんです」
兵庫県出身の福田氏はレイズ傘下のマイナー組織で経験を積み、19年にメジャー昇格。一方、埼玉県生まれで日本語、英語、韓国語、スペイン語の4カ国語を操るキム氏も25年にホワイトソックスのアスレチックトレーナーに就任した。異国の大学で出会った2人が、それぞれの道を歩み、世界最高峰の舞台にたどり着いた。
「去年、メジャーのフィールドで再会できたのは僕たちにとって特別な瞬間でした。同じ大学出身で、同い年で、同じ日本人同士ですからね。いつも互いに情報交換して、お互いに頑張っていこうっていう仲間です」
そして迎えた今季。レイズだけでなく、ホワイトソックスもポストシーズンに進出した。ホワイトソックスはリーグ優勝決定シリーズ進出まであと1勝に迫り、勝ち進めば2人が同じポストシーズンの舞台で顔を合わせる可能性もあった。
その頃、キム氏も「福田くんとはよく連絡を取っていますよ」とうれしそうに話していた。しかし、ホワイトソックスは惜しくも敗退。夢の「親友対決」は実現しなかった。
「ア・リーグ最高の舞台で会えたら良かったんですけど、今年は他のチームが出てきたために、それはかなわなかった。でも、またいずれそういう機会が訪れればいいかなとは思いますね」
敗退後、キム氏から激励を受けたという福田氏。学生時代から約20年、情報を交換し、励まし合いながら歩んできた関係は、チームが違っても変わらない。
今年は福田氏がWSの舞台に立った。次はキム氏とともに、ポストシーズンの大一番を迎える日が来るか。2人が再び同じグラウンドで顔を合わせる時、今度は互いのチームの勝利を懸けた対決になるのかもしれない。(セントピーターズバーグ・杉浦大介通信員)
2026年10月28日 14時31分