◇第51回社会人野球日本選手権大会 1回戦 日産自動車 4─5 ヤマハ(2026年11月1日 京セラドーム)
2025年に活動を再開し、2009年以来15大会ぶりの出場となった日産自動車は、前年優勝のヤマハに1点差で惜敗した。
伊藤祐樹監督は「結果的に負けはしましたけれども、最後まで期待に応える試合ができたかなと思います」と振り返った。
初回2死一塁から4番・DHの比嘉久人捕手が右越え2ランを放って2点を先制。しかし、その後は打線が沈黙した。3点を追う9回にようやく反撃のスイッチが入った。1死から四球と安打で一、三塁とし、主将の石毛大地外野手が左前適時打でまず1点。2死後には川副寿楽も左前適時打で1点差に迫ったが、最後は田中雄大外野手が空振り三振に倒れた。
1回戦の対戦相手が前年覇者というのは、休部前の最後の全国大会となった2009年と同じ。当時は大会3連覇を狙うトヨタ自動車を相手に、9回に2点を奪って4―3で逆転サヨナラ勝ちを収めていた。伊藤監督は劇的勝利の再現があるのでは、と頭によぎったという。
「それはありましたね。このまま終わるわけないなっていう思いも頭によぎりながら、でもやっぱり最後まで戦うぞっていう、声かけをしながらね」
そして、粘り強く戦った選手たちの成長を感じ取っていた。
「最後までこういう戦い方もできるようになったんだと。今までだったら、こんな展開で最後に食らいついて1点差まで追い上げるっていうのはなかったんでね」
活動再開から2年目のため、選手全員が25歳以下の若いチームだ。茨城日産から転籍した主将の石毛大地だけが社会人3年目になる。だからこそ、全国大会に出場した経験は大きな財産だ。9回の適時打が初安打だった石毛は「最後に1本出るか出ないかっていうのは違いますし、この冬の過ごし方1つとっても違うと思うので、なんとか1本出て良かった。2大大会っていうものを自分たちが初めて知れて、この舞台を経験できたのがいうのが一番大きかった」とうなずく。
選手のスカウティングを始める時期が遅かったこともあり、高校時代に甲子園出場経験のある選手や、いわゆる野球エリートはいない。それでも、日産でやりたいという思いのある選手が集まり、個ではなくチーム力で戦う集団は日本選手権出場という結果をつかんだ。
三塁側スタンドからは多くの観衆が「ゴーゴー!ニッサン!」のかけ声で選手を後押しし、試合後は健闘を称える温かい拍手が送られた。新生・日産自動車の挑戦は始まったばかりだ。
2026年11月01日 18時41分